名刺スタイリスト(名刺専門デザイナー)のクボ(@meishistylist)です。
金谷ホテルの名刺は従業員の意識改革になった!についてです。
金谷ホテルの顧問でもある放送作家の小山薫堂さんは名刺で従業員の意識改革を行っています。
どのような名刺で意識改革をしていったのでしょうか。
とてもユニークなアイデアだと思い、名刺デザイナーとしても大変参考になるので、
記事にまとめて見ました。
出典:小山薫堂著 「考えないヒント」
【名刺を変えると何が変わるのか】
名刺を作り変える事によって、僕は三つの事を意図していました。
まず、新しい名刺によって、ホテルへの愛情を確認する事がひとつです。
そのために、今まで名刺を持ったことのない清掃係の人や売店の人まで、全員に名刺を持ってもらいました。
名刺を持つだけで、「自分もスタッフの一員なんだな」という実感がわいてきます。
そして、もう一つ狙っていたのが、新しい名刺をきっかけにして、お客さんと積極的にコミュニケーションを取れるようにする事です。
さらにそれと関連して、顧客を一人でも増やすこと。とりわけ、若いお客さんを取り込むことを考えました。
そこでまず、新しい名刺を作るにあたって、「ホテルの中であなたの一番好きな部分、場所はどこですか?」という事を社員全員に考えてもらいました。
普段はそんなことを考えずに働いていますから、改めて考えると、みんなからいろいろなアイデアが出てくる。
歴史の古いホテルなので、名刺の面影をそのまま残した建物をあげる人がいるのはもちろんのこと、
他に、それぞれの持ち場に関係のある所あげる人もたくさんいました。
例えば料理人だったらフライパン、清掃係だったらゴミ箱、清掃係じゃなくてもゴミ箱を選んだ人もいました。
自分の好きな部分を考えるというプロセス自体が、ホテルへの愛情の確認になります。
次はその中から絵になるところを写真にバシバシ撮っていきました。
そして最終的には三十箇所くらいに絞って、一人ひとり好きな場所を選んでもらい、
それぞれの名刺の裏に印刷する事にしました。
新しい名刺ができあがった所で、ホテルの中にポスターを張り出しました。
「金谷ホテルのスタッフは一人一人違う写真のついた名刺を持っています。全部で三十種類。
その三十種類を集めると、金谷ホテルの小さな写真集ができあがりますから、どうぞ、スタッフに声をかけて名刺をどんどんもらって下さい。」
そういうメッセージを書いたら、お客さんの方から、スタッフに声をかけてくれて、コミュニケーションがはかれる。
スタッフの方からお客さんに話しかけるようになるのがベストかもしれませんが、
そういうスタイルの接客に慣れていないので、恥ずかしがってしまう人も多い。それならお客さんのほうから声をかけてもらえば良いと思った訳です。
お客さんのから、名刺を下さいとリクエストされるようになって、スタッフは、だんだんお客さんにサービスする事の喜びを知るようになりました。
新しい名刺の一番のファンになったのは子供でした。
子供って、ポケモンカードとかムシキングのようにカードを集めるのが好きですよね。
子どもたちがホテル内を探索していろいろな人から名刺をもらうようになると、スタッフもだんだん慣れてきて、
「すごくレアな名刺を持っているお兄さんがいるから紹介してあげるね」
などと言って、厨房にいる皿洗いのお兄さんを連れてきたりするようになった。
それで社員の間でもコミュニケーションが盛んになりましたし、何より、そこで楽しい思い出を作った子どもたちは、将来必ずホテルのサポーターになってくれるはずなんです。
【名刺でスタッフと顧客がつながる】
名刺デザイナーとして、この話ですごいと思ったのが、91×55の小さな紙の名刺を最大限活用している所です。
スタッフの意識改革と顧客獲得を名刺一つで同時に行っています。
こういうアイデアは大事です。
名刺を工夫するとき、どういう情報を詰め込もうかと考える方もいると思いますが、
目的と効果を考え、最適な名刺デザインにする事が必要だと思います。
今回は「金谷ホテルの名刺は従業員の意識改革になった!」について。
広島の名刺デザイナー「名刺スタイリスト」の久保でした!(^^)/
コメント